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想像

2月の阿佐ヶ谷harnessでの月一ワンマンでアルバム『灰と花』を全曲演奏すると決めた時のこと。収録曲中の半分近くが長いこと歌っていない曲だったので、おさらいがてら久し振りに聴き返してみた。拙さや粗ばかりが気になってしまうので普段は滅多に自分の音源を聴き返すことはしないんだけど、あの時はフラットに聴くことが出来た。流れで他の音源も聴き返してみたけど、同じようにフラットに聴けた。良い作品を作り続けてこれたんだなぁと素直に思えた。

思い出深いレコーディングを挙げたらキリが無いんだけど、それでも敢えて挙げるならアルバム『夜の冒険者』収録の「想像」のレコーディングかな。弥吉さんがアコースティックギターでベーシックとなるアルペジオを弾き、そこに俺がフレーズを被せ、コーラスを入れただけのシンプルな曲。この曲での二本のアコギの絡み方には、弥吉さんと俺との関係性が凄く現れてる気がしてる。

レコーディングにおいてもライヴにおいても弥吉さんがドッシリと構えていてくれるからこそ、俺は自分勝手流でやりたいことをやってこれたんだと思ってる。「想像」の二本のアコギの在り方、絡み方はそんな弥吉さんと俺の関係性そのもののように聴こえる。演奏技術に差があるし、リズムの捉え方、アクセントの付け方もそれぞれで違っているから聴く人によってはイビツに聴こえるかもしれないけれど、絶妙で抜群な絡み方をしていると自分では思っている。

実はこの曲は当初はTravis風のアコースティック寄りギターロックなアレンジを考えていたんだけど、弥吉さんのアイディアで完全なアコースティックアレンジに変更した。それによって当初自分の頭の中で鳴っていたものよりも遥かに良い曲になった。同じようなことはデビュー盤『讃美歌I&II』のレコーディングの頃から何度もあったけど、改めて凄い人だと思った。

「想像出来るかい?暗がりの中でどこにも行けずにうずくまる夜を」という歌詞の一節を「凄く良いフレーズだよ」と言ってくれたのも凄く嬉しかった。

「想像」をライヴで演奏する時、今は自分流のアルペジオで演奏してるけれど、いつか弥吉さんのように弾くことが出来るだろうか。ギターの練習を始めたから、もしかしたら弾くことが出来るかもしれないよな。

自分の生きた証を形として残せるのは幸せなことだと思う。生きた証だけでなく、そこには音楽を鳴らした時の思い出すらも宿る。俺は独りであって独りじゃない。だから多分、大丈夫。

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